「VR元年」といわれた2016年から月日が経ち、エンタテインメントやビジネス、教育などさまざまな分野でVRが活躍するようになっています。
ここでは改めて「VRとは何か」ということを振り返ってみます。
さらに、VRでどんなことができるのか、どうやってVRを始めるのかについてもまとめました。
VRとは?
VRは「バーチャル・リアリティ(Virtual Reality)」の略で、日本語では「仮想現実」と訳されます。
一般的にイメージされるのは、VRゴーグルを通して3DCGで造り上げられた仮想世界を現実のように感じられる体験ができる技術です。
人間の認識は目で見る視覚が7割近く影響すると言われています。
そのため、VRゴーグルとヘッドホンで視覚と聴覚を外界から遮断することで、仮想空間の出来事だと理解しても現実と間違うほどVR空間に没入することが可能です。
VRでは何ができる?
VRはテーマパークやビジネス、医療現場などで幅広く活用されています。
もちろん、家庭でも
- ゲーム
- 動画視聴
などさまざまな用途でVRを楽しむことが可能です。
VRを身近に楽しめる用途にどのようなものがあるのか見ていきましょう。
VRゲーム
非現実的なシチュエーションでも本当に起こっているかのように体験できるVRはゲームと非常に相性が良い技術です。
従来のゲームはどんなにグラフィックを向上させてリアリティを追求しても、ディスプレイの画面に映し出されるものにとどまります。
その点、VRゲームでは自分が本当にゲームの世界に入り込んだかのような体験をすることができるのが最大の特徴です。
操作方法もゲームパッドを通したものではなく、実際に自分の手を動かして
- アイテムを握る
- 狙いをつける
- 投げる
といったリアルな挙動を取ることができます。
VR動画
ゲームと並んでVRと相性が良い楽しみ方が動画です。
通常の動画視聴は平面のディスプレイに映し出される映像を見るだけなのに対して、VRでは3Dアニメや360度動画の世界に入り込んで登場人物の視点で動画を楽しむことができます。
YouTubeでは
- 3DCGで制作されたアニメーション
- 360度動画
といったVRコンテンツを無料で視聴することができます。
また、DMM.comや360channelなどの動画配信サイトを利用すれば、よりクオリティが高いVR動画も視聴可能です。
楽しめるのはVR動画だけじゃない?
VR空間での動画視聴はVR動画だけではありません。
- NetFlix
- Amazon Prime Video
といったサブスクリプション型の動画配信サイトはVRに対応しており、VR空間のホームシアターで大迫力の動画視聴体験も可能です。
VRショッピング
近年VRの活用例注目されているのがVRを使ったネットショッピングです。
通常のネットショッピングだと商品を選ぶ際には画像や映像を参考にします。
しかし、VRショッピングでは商品の大きさをチェックしながら手に取ってみたりといった現実の買い物と同じような臨場感ある買い物体験を提供できるのが特徴です。
国内でVRショッピングとして特に有名なのがHIKKY社が開催するバーチャルイベント「バーチャルマーケット」です。
画像:バーチャルマーケット公式
”VR界のコミケ”
とも言われているこのイベントは出展者と来場者がアバターを通じて参加し、VR空間上にある会場でさまざまな3Dアイテムや、リアル商品(洋服、PCなど)を売り買いすることができます。
2018年の第1回バーチャルマーケットは小規模イベントだったものの、現在では国内外から数多くの企業が展示を行う世界最大規模のバーチャルイベントへと成長しました。
最近では新型コロナ禍の影響で思うように営業ができない百貨店や大型店舗がVRショッピングを導入する事例も増えています。
「バーチャルマーケット」でも新しい試みとして常設展示型のバーチャルショッピングモール「VketMall」をオープンさせ、VRショッピングも新しい買い物スタイルとして定着しつつあるといえるでしょう
不動産業界で活用されるVRショッピング
また、VRを導入しているのは物販事業だけではなく不動産でも盛んです。
VRゴーグルさえあれば家にいながらにして物件の中を見て周ることができるVR内見が行われています。
単に物件を見るだけではなく、VR空間の部屋に家具を配置することで入居後の生活をイメージしやすいのが特徴です。
そのため通常の内見よりも成約率が高く、不動産各社でVR導入が広がっています。
VR SNS
最近ではVR内での交流が楽しめるVR SNSも人気です。
VR SNSではアバターを通じてVR空間で
- おしゃべり
- ゲーム
- VRライブ
などを他のユーザーと一緒に楽しむことができます。
コミュニケーションも文字主体ではなく自分の声を通じて行うので、声のトーンの変化で相手の感情を推し量る現実に近いものとなるのが特徴です。
さらに、身振り手振りを交えたボディランゲージも使えるので、日本語が通じない外国ユーザーとも単純なやりとりで交流することもできます。
VRを楽しむのに必要なもの
VRを楽しむためには
- VR対応機器
- VRゴーグル
- VRアプリ
の準備が必要です。
それぞれについて詳しくみていきましょう。
1.VR対応機器
VRを楽しむには、PCなどVRに対応した機器が必要になります。
スタンドアロン型以外のVRゴーグルの場合、VRゴーグル単体でVRを楽しむことはできません。
- PC
- PS4
- スマホ
などといったVR対応機器に接続する必要があります。
VRゴーグルによって体験できるVRコンテンツはもちろん、必要なVR対応機器が違うので、事前にしっかりと確認した上で必要機器を用意しましょう。
2.VRゴーグル
VRを楽しむにはVRゴーグルが必要不可欠です。
VRゴーグルには
- スマホ用VRゴーグル
- PC用VRゴーグル
- PlayStation VR
- スタンドアロンVR
の4つの種類があります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
スマホ用VRゴーグル
スマホ用VRゴーグルは手持ちのスマホと組み合わせることで、VR体験が出来るようになっています。
構造もシンプルで、価格も1,000円以下から3,000円程度と安価なものが多く、気軽にVRを楽しむことができます。
PC用VRゴーグル
PC用VRゴーグルはPCに接続して利用するVRゴーグルです。
ゲーミングPCなどのハイスペックPCでVR映像の処理を行い、VRゴーグルはそのVR映像をクリアに映し出す役割を果たします。
そのため、他の種類のVRゴーグルよりも高品質のVR体験を楽しめます。
ただし、PCへの接続はケーブルを使った有線接続であるため、VR体験中にケーブルの存在を感じると一気に没入感が損なわれるというデメリットもあります。
また、ハイクオリティなVR体験ができる分、必要なVR機器も高性能となるので初期費用がかなり高くなってしまいます。
PlayStation VR
PlayStationVR(PSVR)はPS4もしくはPS5に接続して利用するVRゴーグルです。
PS4という人気家庭用ゲーム機に接続する手軽さと、VR初期に「バイオハザード7」や「サマーレッスン」などのヒット作のリリースしたことで、世界で最も普及したVRゴーグルとなりました。
また、さらに進化したVR体験ができるPS5用の次世代PSVRが最速で2022年に発売されることが発表され、世界中の注目を集めています。
スタンドアロンVR
スタンドアロンVRは外部機器不要で、VRゴーグル本体のみでVRが楽しめます。
PCなどとゲーブルで接続する必要も無いので、ケーブルレスで快適なVR体験が出来るのが魅力です。
体験できるVRクオリティも安定しており、PC用VRに負けない高品質のVR体験も楽しめます。
2019年にFacebookがリリースしたOculusQuestの大ヒットによりVRユーザーの中で広く認知されるようになり、ハイエンドVRゴーグルメーカーの多くがスタンドアロンVRの開発に注力しているため、今後のVRゴーグルの基本的なスタイルとなりそうです。
3.VRアプリ
VRを楽しむためには、VRアプリなども必要です。
VRゲームやるならそのゲームアプリを、
VR動画を見るなら再生用アプリを、
といった形で、やりたいコンテンツにあわせてVRアプリをダウンロードする必要があります。
また、スマホやPC、スタンドアロンなど、利用するデバイスによってダウンロードできるサイトも異なるので注意しましょう。
スマホ:AppStore/GooglePlay など
PC/スタンドアロン:Steam/Oculusストア/VIVE Port など
PSVR:PSストア
VRを楽しむまでの大まかな流れ
VRはざっくり
- 各種VR機材を準備
- VRゴーグルのセッティングをする
- VRゴーグルを装着する
- VRを楽しむ
の手順で楽しむことができます。
1.各種VR機材を準備する
まずは
- VR対応機器
- VRゴーグル
- VRアプリ
といった各種必要機材などを準備します。
VR体験の際に利用する部屋も事故防止のために片付けておきましょう。
2.初期設定などVRゴーグルのセッティングをする
次はさまざまな設定などを済ませます。
スマホVRは、スマホにインストールしたVRアプリを起動し、VRゴーグルにスマホをセットするだけで完了なので比較的簡単ですが、PCやPSVRなどの場合は
- 機材への接続
- トラッキングなど各種初期設定
など機材やソフトウェアなどのセットアップなど多少設定に手間がかかります。
慣れていない場合はそれなりに時間がかかることもあるので、セッティング時はなるべく多めに時間がかかると思っていたほうが良いでしょう。
3.VRゴーグルを装着する
初期設定などが完了したらVRゴーグルを装着しましょう。
快適なVR体験ができるように、装着して違和感などがあればバンドの長さや顔にあたる部分の位置を調節します。
4.VRを楽しむ
あとはプレイしたいVRアプリを起動してVR体験のスタートです。
リアルで没入感たっぷりのVR空間を思いっきり楽しみましょう。
VRはARやMRとどう違う?
VRと似たような概念にARとMRがあります。
AR(拡張現実)はスマホやARグラスなどのデバイスを通して見ることにより情報やキャラクターなどのCGモデルを現実世界に追加する技術です。
デジタルでもう一つの現実を作り上げるVRに対して、ARはあくまでも現実をベースにデジタル情報を追加するにとどまります。
もう一つのMR(複合現実)はVRとARを組み合わせたような技術です。
現実の世界とバーチャル世界を融合させ、現実世界に追加したCGモデルは本当にそこに実在するかのように触れたり見回すことができます。
まとめ
デジタルで作られた「現実っぽい空間」に張り込むことができるVR。
かつては大掛かりな施設が必要でしたが、最近では家庭用VRデバイスからでも
- VRゲーム
- VR動画
- VR SNS
を好きなように楽しむことができるようになりました。
VR体験は利用する機器によって
- スマホVR
- PC用VR
- PSVR
- 一体型(スタンドアロン)
の4種類に分けられることができます。
どの種類のVRを選ぶかは、どんなVR体験をしたいのかということを重要ポイントとして考えるのがおすすめです。
希望にあった種類のVRを選んで、仮想空間の魅力を思いっきり楽しんでみてください!